痛みがあると、人は不安になります。
しびれが出ると、どこか悪いのではないかと心配になります。
しかし本来、痛みやシビレは決して悪者ではありません。
痛みは体が壊れないように守ってくれている信号であり、
これ以上無理をすると体が傷つくと教えてくれる大切なメッセージです。
私たちが生まれながらに持つこの防御反応は、命を守るために進化してきたものです。
体はあなたの味方であり、痛みはあなたを守るために起こるのです。
ここでは、痛みの正体や腰痛の改善に必要な科学的知識、そしてあなたに本当に伝えたい応援メッセージをまとめていきます。
痛みは体の警報装置
痛みを感じるとき、人の体では侵害受容器と呼ばれるセンサーが素早く働いています。
筋肉や靭帯、関節、椎間板、神経などに存在するセンサーが刺激や炎症を察知し、脳に危険信号を送ります。
このセンサーが働かなければ、人は自分の体の損傷に気づけなくなり、傷を悪化させてしまいます。
実際に生まれつき痛みを感じない病気の方は、骨折に気づかず歩き続けたり、火傷をしても痛まないため重症化してしまうケースが多く報告されています。
つまり痛みは、体を守るために欠かせないものです。
痛みがあるということは、体があなたに「これ以上無理をしないでほしい」と教えてくれている証です。
腰痛の八割は手技で改善できる
腰痛というと骨がずれているのではないか、椎間板が潰れているのではないか、と不安になる方が少なくありません。
しかし最新の整形外科学や世界のガイドラインでは、腰痛の約八割は非特異的腰痛と呼ばれ、レントゲンでも異常は見つからず、筋肉の緊張、関節の硬さ、姿勢の崩れ、血流の低下など機能的要因が原因とされています。
この非特異的腰痛は、施術の技術がしっかりしていれば十分に改善可能です。
特に筋膜調整、関節モビリゼーション、筋バランスのリセット、呼吸の改善など、科学的根拠に基づいた施術は高い効果が確認されています。
残りの二割が特異的腰痛と呼ばれるもので、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、骨折、感染症、腫瘍などが該当します。
しかしこれらは医師が診断し、必要であれば併用した治療を進めていきます。
重要なのは、腰痛のほとんどは正しい手技と正しい運動で改善できるという事実です。
不安に飲まれず、体の可能性を信じていただきたいと思います。
腰痛や神経痛を起こさない鍵は椎間板の水分量
腰のクッションである椎間板には多くの水分が含まれています。
椎間板はスポンジのように水を含み、衝撃を吸収したり、背骨をしなやかに動かす役割があります。
しかし座りっぱなしの生活、運動不足、猫背姿勢、加齢などの影響で椎間板は乾燥していきます。
水分量が減ると弾力がなくなり、神経や筋肉に負担がかかりやすくなります。
日本整形外科学会の研究では、椎間板の水分量が減るほど腰痛の発生率が上昇することが報告されています。
反対に、軽い衝撃やリズム運動を定期的に入れると椎間板の水分が循環し、状態が改善されることも確認されています。
具体的に椎間板の水分を保つために最も効果的なのがジョギングです。
走ることで上下の軽い刺激が繰り返し加わり、椎間板内部に水が吸収されやすくなります。
ジョギングが難しい場合は速歩きでのウォーキングでも効果が期待できます。
椎間板は動かすほど元気になります。
座り続ければ固まり、動けば潤う。
まさに全身は「動くことで治る構造」になっているのです。
車と自転車は便利だが、健康という視点では注意が必要
現代では車も自転車も生活に不可欠な移動手段になっています。
しかし健康の観点から見ると、移動のたびに筋肉を休ませている状態になり、運動量が大幅に減ってしまいます。
特に股関節周りや太もも、ふくらはぎなど、姿勢維持に重要な筋肉が使われなくなり、結果として腰痛や膝痛を起こしやすくなります。
人間の体は本来、歩くことが前提で作られています。
足を使うことは筋肉、関節、血管、神経、心肺機能まで全身を動かす最も自然な運動です。
